宮下恵茉 『ジジきみと歩いた』 【児童書】
著者:宮下 恵茉
もし。考えても仕方のないことだが、どうしても考えてしまう。もし、ぼくが頭がよかったら。運動ができたら。お金持ちだったら。お父さんもお母さんもそろっていたら。どうしようもないことのせいにして、自分を認めてあげないのは簡単でラクだ。いつの間にか陥ってしまう思考の連鎖。断ち切るためには一体どうすればいいのだろう―――。ジジは、いつも遊ぶ河原にいた野良犬だ。河原の空き地がなくなっちゃうことになって、翼が飼うことになった。全然乗り気じゃないのに、いつも一緒にナンベーをやってた仲間が、翼のうちには庭があるからと決めたのだ。みんなで散歩に行くって約束だったのに、いつの間にか翼と来生くんだけがジジの面倒を見るようになっていた。じじむさい顔をしているからジジ。散歩してるとおしっこ垂れ流しちゃうジジ。それになんだか、翼のことをばかにしているジジ。いつもくよくよしてお前は何にも知らないだらしないヤツだなあと言ってるみたい。そんなジジを始めは好きになれなかった翼も、段々と彼を認め、そして彼を通していろんなことが見えてくるようになる。自分を中心に回っていた世界が、ジジを通して次第に外へと開いていく。外に待っていることは、楽しいことばかりじゃない。イヤでも見つめて、ぶつかっていかなくてはならないことばかりだ。でも、くよくよぐるぐるの思考の連鎖を断ち切るためには、外に出るのが一番だろう。翼を外に連れ出してくれたのはジジや来生くんで、彼らと付き合うことで自分を見つめなおす勇気が生まれた。翼に待っているのは別れだったとしても、それを乗り越えることのできる強さが生まれた。犬はいいよなあ。全身で訴えてるもんね。ぼくと遊んでよ、ぼくを愛してよってさ。子供も結構素直に全身で訴えてるのにね。ジジと翼と来生君と。切ないラストだけれど、一気に読めてあぁなんかよかった
ジジきみと歩いた (学研の新・創作シリーズ)
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と思える話。
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