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2009年1月

小森真弓 『きのうの少年』

きのうの少年 (福音館創作童話シリーズ) (福音館創作童話シリーズ) きのうの少年 (福音館創作童話シリーズ) (福音館創作童話シリーズ)

著者:小森 真弓
販売元:福音館書店
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アキの家の南側、雑木林の中に運動場ほどの池がある。そこでケイト、達弘、タケやんとその池の主を見たのは小学校に入って間もない頃のこと。水面から跳ね上がり一瞬だけその大きな姿を現した魚。主の大きさについてはいつももめるけど、宝物を心にしまっている四人はいつでも一緒だと思っていた。少なくともアキは。あれから5年。最上級生になり、それぞれがそれぞれの道を歩み始める。部活を始めて池から遠のいていく達弘とタケやん。マイペースに池や自然を愛すケイト。そしてそんなバラバラな状態をなんとなく面白くないと感じているアキ。春から冬へ、池を取り巻く自然と共に伸びやかに成長していこうとする少女アキの様子が丁寧に書かれている。

そう、アキは女の子だ。少女のものがたりとなると、主人公はセンシティブな感じの子が多いような気がする。石井睦美さんや草野たきさん。引っ込み思案だったり、悩みを抱えていたり。友情や家族の間でゆらゆらと揺れる女の子の繊細な心の内。そんな女の子らしい女の子たちに共感しながら読むのも楽しいのだが、アキはちょっと違う。お母さんを早くに亡くしたアキはお父さんと二人暮らし。友達はケイト、達弘、タケやんの男子3人。若沙という女の子の友達もいるが、どうも一線引かれているし自分でも一線引いている。当然、行動は男の子同然。6年生にもなると色恋の話に浮かれ始めるものだが、全く無頓着で3人と接するものだから、やっかみを受けたりする。「よつばと」のよつばちゃんが大きくなったらこんな感じ?みたいな純粋で活発なアキが、周囲の変化と共に“女の子”の部分を成長させていく。景色が毎日ちょっとずつ変化してるくらいにほんのりと成長していくアキ。受け入れたくなくても、受け入れなくちゃならないことがある。イヤだばかりではいられなくなる時期に、大事なものを守るために自分ができることは何か素直にぶつかっていく。ゆったりとした自然の中でゆっくりと流れていく時間が気持ちいい。とても大切な宝物を読むような気分を味わえた一冊。

よつばと! (1) よつばと! (1)

著者:あずま きよひこ
販売元:メディアワークス
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篠原勝之 『走れUMI』 【児童書】

走れUMI 走れUMI

著者:篠原 勝之
販売元:講談社
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「おかあさんとおとうさんが別れちゃったら、ボク二人とも好きだからどっちについていったらわかんないでしょ、だからけんかしないでね」とは、5歳になる我が甥っ子くんの名言。言えないよなーなかなか。言動が常に達者な彼の様に、思いをいつも口に出す術を心得ていたら、世の中もっと上手く渡れるのかしら。この話の主人公、洋ひろしは器用に立ち回ることができない方。

両親の離婚によって、海の町から山の町へと移り住むことになった洋。お母さんは生き生きとし始めたが、それと同時に前よりも口やかましくなる。新しい学校にもなじめず、お母さんの小言に我慢するのも限界がきてしまった小学生最後の夏休み。相棒のマウンテンバイクと共に、自分の限界を乗り超えてみることにした。一路、海の町へ。お父さんのいる港町へターコイズブルーの「UMI」を走らせる。

男の子の経験値はやっぱり勉強の量では上がらないんだなと思う。与えられたことをこなせる力よりも、自由を使いこなせる力。じいちゃんは「自分で考えたことを実行するのが自由」と洋に話す。自分で考えて行動するには、自分を信じる力が必要になる。例え、勉強もできずうまくしゃべることができなくても、自分を少しでも信じることができたら、それだけで強くなれるかもしれない。自信を持つためには家で勉強するのも大切だけど、理屈抜きの骨太の経験をすることも大切だろう。お母さんってのは、どうも想像力が足りない。いや、現実に根付いた想像ならいくらでもできるし、正しい事の方が多い。でもそこには創造がない。いくつになっても夢見がちな男の人ってのも扱いに困るかもしれないが、もし、いつも見てるお父さんとは違うお父さんを見ることができたら?子供だって惚れ直すだろう・・・もしかしたらお母さんも。それがお父さんでなくても、尊敬できる相手がいるってことは、自分自身を少しずつ固めて自信を持とうとするあやふやな時期に大切なことのようだ。海の匂いがする爽快なお話。なんだかくさくさして何もかもイヤだなあと思ったときに読んでみたら、一歩踏み出してみようかなって気分になるかも。

・・・自転車つながりで思い出す。こちらは友情満載スッキリ爽快(≧∇≦)

空をつかむまで 空をつかむまで

著者:関口 尚
販売元:集英社
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大崎梢 『片耳うさぎ』

片耳うさぎ 片耳うさぎ

著者:大崎 梢
販売元:光文社
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書き出しからノックアウト。給食がオイシそうなんだもの。一体、奈都なつはそんなにオイシそうな給食を平らげながら何を悩んでるんだろう。小学6年生。転校してきたばかり。隣の席の一色祐太は、いろいろと奈都のことを気にしてくれて、奈都も心を開いている。どうやら学校ではなく問題は家の方にあるらしい・・・でも、意外な悩みにちょっと拍子抜け。家に帰りたくないのだ。お母さんもお父さんもいないから。あの家にひとりなんて耐えられない!って、どんな家なの?どんどん引き込まれていく。

会社が倒産したため、父親の実家に転がり込むことになった奈都達一家。蔵波の実家は、昔は庄屋の由緒ある家柄だった。そしてその屋敷はとてつもなく広く、蔵波の当主である祖父・勝彦、その姉の雪子伯母、そして奈都の父の二人目の兄にあたる伯父夫婦とその子供の志保と良彦が住んでいた。それから最近居候を始めた今は亡き長兄の息子、一基。お手伝いさんが家事を取り仕切るその家では、奈都は全くひとりぼっちだった。伯父伯母は優しかったが、志保や良彦、一基は年が離れている。唯一、一基だけは奈都を気にかけてくれていたが、祖父は特に奈津に興味がないようだし、居丈高な雪子伯母に至っては、暗い怖いと家に怯える奈都をこばかにしているようだった。とにかく奈都はこの蔵波の家がいやだった。他人を圧倒する門構えに、覚えられないくらいのいくつもの部屋。隅々が暗く何かがいるような気がしてならない。そして何より、そこに住む人達と取れないコミュニケーション。そんな家に一人きり・・・。そんな奈都のピンチを救ってくれたのが一色祐太。お姉さんに相談してみろと言うのだ。中学生のさゆりは奈都の古い家に興味を持ち、一緒に泊まってくれるという。かわいらしい顔をしてとっても好奇心旺盛、周りの大人の扱い方を知り、探偵並みの嗅覚を持ち合わせるさゆりと共に、奈都はお屋敷と蔵波家のミステリーに巻き込まれていくことになる。

奈都が怖い怖いと恐れる度に、見てはいけないモノが見える・・みたいな流れになっていくのかなと思ったが、そちらに流れそうで流れることがない。ぐっと現実に踏みとどまって話が進んでいく。そんな中で、あやふやなさゆりの存在。この美少女の存在と、おどろおどろしい言い伝えの肝心な部分がうさぎという点が、話を横溝正史ではなくファンタジー調にしていて読みやすい。そして奈都。重苦しい家に怯えて目をつむっていた日々から、さゆりの助けを借りながら少しずつ自分の居場所を作ろうともがいていく様子が鮮やかだ。

ラスト、一転二転する様子に目が離せない。作者の巧妙なワザ見せつけられてニヤっとしたり、良彦が『キャンディキャンディ』のニールじゃなくてよかったーっと思ったり。そしてでっかいお屋敷。ちょっと前にテレビ朝日でやってた石原さとみ主演のドラマ思い出した・・・って、ちょっと見ただけなんだけど。なんだか、でっかくて古くて由緒ある日本家屋で宝探ししてたよな。忍者屋敷じゃあないけれど、本当に隠し扉や隠し部屋、外に出られる秘密の通路とかありそうなでっかくて暗くて古い家。可愛い顔してべらんめえ調とイケメン達を使いこなしてた石原さとみちゃん。奈都が遭遇したひとりではどうにもできない窮地に、ふいっと現われて何くれとなく助けてくれるさゆりが、私の中では石原さとみになってしまった・・・年齢差あるけどヽ(´▽`)/

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久保寺健彦『空とセイとぼくと』

空とセイとぼくと 空とセイとぼくと

著者:久保寺 健彦
販売元:幻冬舎
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表紙だけ見た思い込みで読み始めると、あまりの展開に唖然とすることがある。スカイブルーの爽やかな表紙を手に取り、ほお、ラストわんこが死んじゃうってとこかなー泣ける本だなよし、くらいで読んだこの本も驚きの連続だった。

主人公、零れいの出身地は上野公園。美術館や動物園があるこのお山は、ホームレスが多く集まるという裏の顔を持っている。零はここで育ちここでセイと出会った。雑種で捨てられた子犬だったセイは散歩をしてくれる零に懐き大きくなっていく。お父さんが死にセイの飼い主も死んでしまうと、零とセイの果てしない旅が始まった。何も知らないけれど、生きていかなければならない。子供だって知恵を駆使して生きていこうとする。住むところと食べるものがあれば幸せ。零とセイは親子のように兄弟のように、そしてかけがえのない友達としてお互い助け合って、人目を避けて放浪していく。そんな生活が終わるのは、ある街の公園でリョウくんに出会ってから。・・・そういえば、彼はどうなったんだろう。ワルだけど素直でいいヤツのリョウくんに誘われて、零はホストとしての生活を始めることになる。そこで出会ったゲストのリカ。金離れはいいけれど事情持ちの彼女は零を気に入る。それから道端で見かけたブレイキン。身体を激しく動かしてくるくると踊るその様子に、零だけでなくセイも反応する。二人とも音楽に合わせて身体を動かすのが大好きだし、抜群の動きができたのだ。出会いが零の人生を変えていく。何も知らなくても持っていなくても生きていくことはできる。だけど、それはただ生きていくだけのこと。出会いが生きていくということに彩をつけ幅を広げていく。時につらく厳しいこともあるけれど、分かり合える人がいるということ、のめり込めるものがあるということは、生きることが幸せだということにつながっていく。零の人生、そうだな、わらしべ長者というのかな、「フォレストガンプ」だな。欲もなく無心で向かっていく彼のもとに、自然に幸福が集まってくる。もちろん、幸せばかりではない。でも、わからないなりに工夫し勉強して生きていこうとがんばる零の姿に感動する。そして、彼に寄り添うセイに感心する。リカの設定は極端すぎると思ったけれど、よく考えたら零の存在自体、極端で摩訶不思議だ。彼の身の上は悲惨ではあるが、物語全体が暗くなることはない。むしろセイと共に軽やかに進んでいき、ページを繰る手を止められない。そして読後、涙を拭きつつも、その表紙のように爽やかな気分になれたのだ。

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フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD] フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD]

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発売日:2008/06/20
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山本幸久 『ある日、アヒルバス』

ある日、アヒルバス ある日、アヒルバス

著者:山本 幸久
販売元:実業之日本社
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アヒルバスってのは、あれか、はとバスにかかってるのか・・・と気がついたのは、読み終わってから。ラブリーなアヒルさんの表紙を見ていた時でした。なるほどね・・・。

かわいい恋愛ストーリーでも詰まってるのかと思いきや、東京を観光するバスに乗るガイドさんの奮闘記でした。始めのページのちょっとした地図を見ながら、しかしまあ、狭い所によくこれだけ見物できる場所が揃ってるもんだと改めて感心。ほんとに雑多な街だな、東京って。読んでいくと結構細かく東京を案内してもらえる。年取ったら『これはお得!東京名所ぐるり旅』に参加したいなあ・・・東京住んでるけど都庁にも行ったことないもんなあ・・・。なんて感慨にふけりながら、大笑い。とにかく笑える。テンポがいいんだよなー

高松秀子さんの愚痴なんて、歌うようにするすると脳みそに入り込んでいく。山本幸久氏って、男の方ですよねえ。『笑う招き猫』でも思ったんだけど、“女子”のキモチを書くの上手いなあと思って。アヒルバス社のバスガイド高松秀子さんの真っ直ぐで元気いっぱい、だけど、自分に自信が持てなくてついつい後輩におべんちゃら使っちゃったり、仕事に後ろ向きになったり前向きになったりの浮いたり沈んだりの日々。あるよね~♪じゃあないけど、いつの間にか自分もピノ食べて願いのピノ探し出したくなっちゃう。優しかった先輩の夢を追う姿に打ちのめされ、厳しい先輩の生活を知り未来を嘆き、意外に会社の未来を考えてる同期に圧倒され、できそうでできない後輩達にイライラさせられ・・・。でも自分の仕事を愛してがんばるデコの姿にスカッとさせられます。ぜひとも社歌にメロディーつけてドラマ化して欲しいなあ・・・デコは高松秀郎さんはムリだから・・・上戸彩ちゃんとか?剛鉄母さんの戸田夏美センパイはやっぱり、戸田恵子さんで?(笑)

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笑う招き猫 (集英社文庫) 笑う招き猫 (集英社文庫)

著者:山本 幸久
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