大崎梢 『片耳うさぎ』
著者:大崎 梢
片耳うさぎ
販売元:光文社
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書き出しからノックアウト。給食がオイシそうなんだもの。一体、奈都なつはそんなにオイシそうな給食を平らげながら何を悩んでるんだろう。小学6年生。転校してきたばかり。隣の席の一色祐太は、いろいろと奈都のことを気にしてくれて、奈都も心を開いている。どうやら学校ではなく問題は家の方にあるらしい・・・でも、意外な悩みにちょっと拍子抜け。家に帰りたくないのだ。お母さんもお父さんもいないから。あの家にひとりなんて耐えられない!って、どんな家なの?どんどん引き込まれていく。
会社が倒産したため、父親の実家に転がり込むことになった奈都達一家。蔵波の実家は、昔は庄屋の由緒ある家柄だった。そしてその屋敷はとてつもなく広く、蔵波の当主である祖父・勝彦、その姉の雪子伯母、そして奈都の父の二人目の兄にあたる伯父夫婦とその子供の志保と良彦が住んでいた。それから最近居候を始めた今は亡き長兄の息子、一基。お手伝いさんが家事を取り仕切るその家では、奈都は全くひとりぼっちだった。伯父伯母は優しかったが、志保や良彦、一基は年が離れている。唯一、一基だけは奈都を気にかけてくれていたが、祖父は特に奈津に興味がないようだし、居丈高な雪子伯母に至っては、暗い怖いと家に怯える奈都をこばかにしているようだった。とにかく奈都はこの蔵波の家がいやだった。他人を圧倒する門構えに、覚えられないくらいのいくつもの部屋。隅々が暗く何かがいるような気がしてならない。そして何より、そこに住む人達と取れないコミュニケーション。そんな家に一人きり・・・。そんな奈都のピンチを救ってくれたのが一色祐太。お姉さんに相談してみろと言うのだ。中学生のさゆりは奈都の古い家に興味を持ち、一緒に泊まってくれるという。かわいらしい顔をしてとっても好奇心旺盛、周りの大人の扱い方を知り、探偵並みの嗅覚を持ち合わせるさゆりと共に、奈都はお屋敷と蔵波家のミステリーに巻き込まれていくことになる。
奈都が怖い怖いと恐れる度に、見てはいけないモノが見える・・みたいな流れになっていくのかなと思ったが、そちらに流れそうで流れることがない。ぐっと現実に踏みとどまって話が進んでいく。そんな中で、あやふやなさゆりの存在。この美少女の存在と、おどろおどろしい言い伝えの肝心な部分がうさぎという点が、話を横溝正史ではなくファンタジー調にしていて読みやすい。そして奈都。重苦しい家に怯えて目をつむっていた日々から、さゆりの助けを借りながら少しずつ自分の居場所を作ろうともがいていく様子が鮮やかだ。
ラスト、一転二転する様子に目が離せない。作者の巧妙なワザ見せつけられてニヤっとしたり、良彦が『キャンディキャンディ』のニールじゃなくてよかったーっと思ったり。そしてでっかいお屋敷。ちょっと前にテレビ朝日でやってた石原さとみ主演のドラマ思い出した・・・って、ちょっと見ただけなんだけど。なんだか、でっかくて古くて由緒ある日本家屋で宝探ししてたよな。忍者屋敷じゃあないけれど、本当に隠し扉や隠し部屋、外に出られる秘密の通路とかありそうなでっかくて暗くて古い家。可愛い顔してべらんめえ調とイケメン達を使いこなしてた石原さとみちゃん。奈都が遭遇したひとりではどうにもできない窮地に、ふいっと現われて何くれとなく助けてくれるさゆりが、私の中では石原さとみになってしまった・・・年齢差あるけどヽ(´▽`)/
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