まはら三桃 『卵をもつように』
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たまごを持つように 著者:まはら 三桃 |
神サマはなんて意地悪なんだろう・・・なんて思うことはよくあること。天は二物を与えずなんて、最近はちっとも当てはまらない。技術も才能も美貌も兼ね備えている人が多すぎる。それでも、がんばれば、いつか――パンドラの開けた箱から飛び出した希望を信じて、前へと進む人もいる。
伊吹早弥さやは、弓道部に所属する中学二年生。中学で入った弓道部。初めて持つ弓はなかなか手に馴染まず、やっと弦がまともに引けるようになってきたくらいの腕前。同じ学年の松原実良みらは、初めて弓を持ったのに、すぐに的打ちで中りを連発したほどの才能の持ち主。彼女が弓をつがえて矢を放つ、その一挙手一投足を、早弥はいつも息を飲んで見つめてしまう。実良には才能があった。でも、派手好きで品行方正とはとてもいえない彼女は、練習にも身をいれている様子は見られない。なんでもゆっくりと、階段を一段ずつ踏み締めていかないとならない早弥としては、才能を持っている実良がそんな態度でいることが歯痒くてならない。弓道という伝統の競技を極めようとする二人の少女の葛藤の対比。そこに、同じく弓道部唯一の男子、同級生の春はると彼のアメリカ人の父親による、異文化への眼差しが加わったさわやかなお話だ。
天才が天才としての技を発揮して、全ての栄光を手に入れていく様子も胸がすくが、努力家が地道に練習して次第に上達していく様子は、じんわりと感動を呼ぶ。この構図、『Box!』を思い出した。天才ってのは、いつも傲慢。でもそれだけ繊細な心を持ってたりして。実良の態度にもそれなりの理由があったわけだけど、そこを理解し埋めていくには、相手にぶつかっていくしかない。その点、早弥はストレート。尊敬できる仲間に対して率直にぶつかれるというのは、気持ちがいい。弓道という競技が新鮮だった。一連の動作に伴う緊張感。迫力。一挙手一投足を追う筆致からは、誠実さが伝わってくる。女の子の武士道というとやっぱり『武士道シックスティーン』を思い出してしまうが、あちらで極めようとしている武士道に比べて、一矢にかけるその無心は、なんとも潔く静かだと思った。
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武士道シックスティーン 著者:誉田 哲也 |
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ボックス! 著者:百田尚樹 |
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