小路幸也 『東京バンドワゴン』
著者:小路 幸也
小路氏の一人称、とても気持ちがいいのはなぜだろう。すとんと心に響く文章だ。東京バンドワゴン(古本屋さん)の3代目店主・堀田勘一の奥さん、堀田サチの語り口もそう。家族を見渡すその目線がとても愛にあふれているからだろうか。家族で食事している場面が好きだった。サチの耳に響いてくるそれぞれの声だけで、賑やかに楽しく食事が進んでいる様子が目に浮かぶ。堀田家の人々の、仲の良い毎日が窺い知れる場面だ。そして何より、濃いキャラクター。昔どこかで見たことのあるような頑固ものの勘一をはじめとして、今でもLOVEを大事にするロックシンガー。彼の子どもたちもまた個性的だ。ちょっと女性の書かれ方が画一的な感じがしないでもないけど。そして、彼らにちょっとした難事件を持ち込んでくる周りの人たち。本を中心とした頭をひねる謎の数々は、家族を悩ませつつも、より一層、その絆を深くしていっているみたい。一話ごとに「ぐふふ」と笑わせてくれて、不思議な事件に頭をひねり、家族の言動にほろりとして、ほんわかと満腹感を味わえる。まだまだ堀田家にはいろいろな事件が待ってそうだし、早く続き、読まなくちゃ。
東京バンドワゴン
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