や・ら・わ行の作者

山本幸久・矢口敦子・吉野万理子・ゆうきえみ・横澤彰

横沢彰 『ハミダシ組!』

ハミダシ組! ハミダシ組!

著者:横沢 彰
販売元:新日本出版社
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中学生の頃って、まあ経験した人なら分かると思うけど、なんていうかずーっとモヤモヤしてる。モヤモヤって何よと言われても困る。ある程度大きくなるとなんていうか折り合いついてきちゃって、その頃のモヤモヤも消えちゃうからねえ。ひとことで言っちゃえば、ま、ホルモンバランスだよね。崩れまくってるんだろうねえ。なんでもいいからのめり込んでアンバランス状態を燃焼させちゃうといいんだけど。それがムリそうなら、イライラモヤモヤしてもこれはホルモンバランスが崩れてるのだそのうち治るさと思って耐えるのが一番。・・・まあ、そんな中学生はあんまりいないねえ。「ハミダシ組」のチタとリョウなんてほんと、崩れまくっててもう自分ではどうしたらいいかわからない。今更イイ子になんてなれるわけないと思っちゃうんだよね、人の言うことを素直に聞くってのがサイアクだと囁く悪魔がいるんだよねえ。リョウなんかは素直になれれば自分のやりたいことはわかってるみたいだから、あと一歩ってところだし。チタだって、何をすればいいかわからないけど、この現状がよくないってわかってる時点で救いようがあると思うんだけど。なんといっても、ホルモンバランスという悪魔が邪魔してるから思うように事が運ぶこともなく。なんとなく日々が過ぎていく。こういう、一人ではにっちもさっちもいかなくなった所へ現われて欲しいのが、ヤンクミだろうねえ。ドラマでは、さすがにもうホルモンバランスも持ちなおしてきてるだろうけどイケメンそろえるにはこれくらいの歳でないと・・・みたいな高校生を相手に、誠実さを武器に真正面からぶつかってきてくれる。頼りになるよねえ。「ハミダシ組」にもヤンクミが!?・・・現われることはなく。変わりにやっぱり誠実さを武器にしてはいるが、控えめで考えすぎて失敗して神経痛胃炎をわずらっている直子先生がいる。敵はクラスからはみ出てしまった・・・順応できなかった「ハミダシ組」をつぶそうとする、お偉方と四角張った教師たち。彼らの立場からみたら、順応できないことこそが敵なんだけど。でも、相手はホルモンバランス崩れてるんだぜ、やれと言ってやるわけないじゃん。頭のいい大人たちも必ずそういう道を通ってきたはずなのに、どこで折り合いつけて忘れちゃうんだろう。まあ、彼らの言い分も分かるんだけどね。だって、言うこと聞いてた方が断然お得なのだから。

でも、駄目なものは駄目、絶対ムリ!な時、一体どうすればいいんだろう。本当は、自分を見てほしいだけなんだよねえ。大勢の中のひとりじゃなくて、自分。自分をしっかり見てほしい。それだけなんだけどねえ。自分を見てそっと支えてくれたら、バランス崩れててもいびつでも前へと進めるかもしれないじゃない。親にはもちろん支えて欲しいけど、それが叶わない時もあるし、それだけじゃあ足りない時もある。そんな時、差し伸べてくれる手を見極めてしっかりと掴み取らなくちゃあならない。そのためには、もろもろのモヤモヤに翻弄されてたって、自分だけでも自分を見つめてあげて、目を開いてないと。だってねえ、大人になっても諸々のモヤモヤがいくらでも待ってるからねえ。さらに複雑猥雑化してね。ふふ。だから、10年とちょっと生きてバランス崩して人生に怖気づいてちゃあ、この先もたないって。でもここを乗り越えられたら、この頃のアンバランスさが逆に勉強になってる。み取った手が教えてくれたことを糧にパワーアップした自分になっているだろうからね。そうやって、今度は自分がバランスを崩した人の手をつかみ取れるようになってたら、いいよなあ。

って、これじゃあ本についての感想は全然書いてないじゃん・・・やれやれ。

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山本渚 『吉野北高校図書委員会2』

吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2) 吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)

著者:山本 渚
販売元:メディアファクトリー
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前回では脇役でただのいい人だった図書委員長ワンちゃんが、今回の主役。思いもかけず知ってしまった、牧田先生の一面、今まで知らなかった家族の思い、そして自分の心の内。一体今まで自分は何を見てきたのだろう・・・。川本さんと藤枝くんがそれぞれの悩みで葛藤しているその側で、委員長も地味(!)に思い悩んでいたのでした・・・。別に、おじいちゃんや弟くんと殴りあうわけでもなく、恋心を知ってしまったぞ、と体当たりしていくわけでもなく。静かに静かに、あくまでもワンちゃんらしく葛藤する。

一巻目を読んだ時に思い出したあの頃のキモチ、次の居場所を探してるキモチ・・・って完全に自分がないってことだよねえ。ちゃんと目標がある人は、次に自分のいる場所はここだって決めているんだから。とりあえず、居場所あってよかった~と思ってた自分は、昔の牧田先生と一緒で、自分のない人だったんだよねえ・・・。じゃあ、牧田先生みたいに悩んだのっかて。そりゃ、悩みました・・・確か(^-^; でもまあ、牧田先生が自分の殻を破って価値観を変えていったように、流されていく人生にだってきっと、自分を見つけ出す何かは待っている。そんな人生もありでしょう・・・みたいな?でももしかしたら、いまだに自分がどんな自分かってわかってないかもなあ、わたし・・・はは。

さて、そんなワンちゃんを横目に藤枝くんは、恋心にひとつ区切りをつけようと悩んでいます。行動や言動に比べて、とっても臆病な彼がとても新鮮。川本さんと上手くいくといいんだけどね(*^.^*)

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山下貴光 『屋上ミサイル』

屋上ミサイル (このミス大賞受賞作) 屋上ミサイル (このミス大賞受賞作)

著者:山下貴光
販売元:宝島社
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始めの数ページで、ほんとにどうしよう読めない~(゚ー゚;と挫折しかかった。なんとかがんばれたのは、“拉致された大統領”の安否が知りたかったからと、国重くんの言動にとても魅かれたから。

アメリカ大統領がテロリストに拉致監禁され全世界に今にもミサイルが降ってきそう・・・とはいえ、それはまだまだ遠い国での出来事。高2の辻尾アカネは美術の課題のために学校の屋上にのぼった。そこで出会ったのが、フェンスにしがみつき黙秘を続ける沢木、学校で一番エラいと噂の不良・国重、フェンスを乗り越え飛び降りたいと願っている平原。全員が一致したのは屋上を愛しているということ。屋上の平和を守るために4人で結成した屋上部は、部員ひとりひとりが持ち込む“平和を乱す出来事”を解決していくこととなる。その内に全ての事件があるひとつの事件へと集約され、次第に巻き込まれていくことに・・・。

なんとなく文章が読みづらい。それも挫折しかかった原因のひとつかな。それぞれの事件は日常では起こり難いものだし、ちょっと安直。それらがラストでひとつにつながっていくのは、いささか無理矢理な感じがしたかなー。おもしろかったけど。ラブやらピースやら、他にもいろいろ、あれもこれも欲張り過ぎたような気もする。

ちょっと勝気なアカネと、一本筋の通った考え方(極端だけど)を持つ国重のぽんぽん飛び交う会話が楽しい。超人国重もさることながら、他の二人も不幸ながら奇抜な設定を持たされ活躍する。アカネを取り囲むスーパーマンのお話のようでもあったな。丁寧だけどとってもコワ~い殺し屋さんや、五月蝿いけど正論を吐き続けるニュース解説の近藤さんとか、極端でユニークなキャラクターが面白かった。

さて拉致られた大統領はどうなったのでしょう?ちょっと笑っちゃう結末と、屋上から見るどこまでも青い空が、なんとなくほっこりとした気分にさせてくれて、とりあえず最後まで読めてよかったーと思えたのだった。

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山本渚 『吉野北高校図書委員会』

吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

著者:山本 渚
販売元:メディアファクトリー
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大学に受かった時「あーこれで、次の自分の居場所ができた」とほっとした覚えがある。

もちろん、そこがどんな場所でどんな艱難辛苦(?)が待っているかなんてわからないけど、とりあえず身を置く場所がなければ楽しみも苦しみも味わうことができない。自分の部屋は、そりゃあ一番サイコーの居場所だけれど、引き篭るほどの勇気も度胸もきっかけもない。だから、就職先がなかなか決まらなかった時は、必死で“居場所”探しをしたもんだ。現在も相当な就職難だけど、バブルがはじけた直後の女子大生も悲惨なもんだった。曰く「短大にしておけばバブル真っ盛りだったのに!」

まあそれはともかく、自分の居場所を探すのって生きていく上で結構重要だ。意識しなくたって、その場所を自分の場所にできてしまう川本かずらのような子もいるけれど、ちょっと乗り遅れてしまった藤枝高広なんかは、いつでも不器用に自分の居場所を探していそうだ。見つからなくたってここは自分の場所じゃないって思ったって、あせらないで外を向いていれば、きっと何か大事なものが見つかるんだけどね。高広は一緒に“恋”まで見つけちゃったんだから、幸せモンである。

彼のもどかしい淡い恋と、かずらのこちらもまた実にもどかしい、ほのかな恋心を軸に、図書委員たちの揺れ動く心が書かれている。図書館の一室という居場所を得て、そこを大事に守っていきたい故の悩みもあるが、どれも葛藤!ってほどじゃあなくて、ああ~そうなんだよねーわかるよ~ってくらいの、なるべく傷つきたくないなあ・・・みたいな高校生の有り様。うんうん。懐かしいなあ、この感じ。思い出したい人にも最適だし、今まさに!の人にも共感できることでしょう。・・・って、わたし、女子高・女子大じゃん!!思い出の中にはヒトカケラも、こんな情景なかったじゃん!う~ん、ちょっと損した気分・・・やり直したいとは思わないけどね(笑)

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ゆうきえみ 『窓ぎわのゴースト』

窓ぎわのゴースト 窓ぎわのゴースト

著者:ゆうき えみ
販売元:大日本図書
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表紙のイメージから想像していた内容とはちょっと違った。優雅なゴーストとせつない恋愛でも始まるのかと思ったら、いわゆる“ゴーストハンター”の話。そうだなあ、講談社YAエンターテイメントにありそうな内容。高校二年の黒木薫子かおるこ、通称ルコの兄・黒木紳一は大学生で自称霊能力者。その霊感を利用してゴーストを退治する仕事を始める。ボロアパートの一室を事務所にして、理系の頭脳を駆使した怪しげな機械を作りながら細々と開業している。紳一の彼女の町田美奈子はとびきりの美人でおっとりとした優しい性格。その上、霊感が強いときて怖いものなし。ルコの尊敬する先輩でもある。ルコに言わせると、マチ先輩の霊感はホンモノだけど、“ジコチュウでゴウマン”な兄の霊感は妄想(!)そしてルコには全く霊感なんてものはなかった。ある事件に関わるまでは。

3人が出会った、あるボロアパート(事務所とは別の)に出る幽霊。その幽霊たちと関わることによってルコの能力は開花し、紳一の怪しげな機械が活躍し、そして美人の幽霊や美人のマチ先輩をめぐり恋まで錯綜する。そして最終的に落ち着いた所は・・・?

読んでいて思い出したのが、はやみねかおる氏の『僕と先輩のマジカル・ライフ』。そもそも幽霊を退治しようなんて人はエキセントリック、みたいなイメージが強いんだろうか。前出の先輩も相当“ヘン”な人だったよな。一体マチ先輩は紳一のどこに惚れたんだとか、ルコの恋は好みの顔から始まっててあまりにも唐突だろうとか、幽霊さんたちの死因が微妙とか。んーと思うことは多々あったけど、軽妙に進んでいく展開が面白くてするする読めた。退治するんのではなく“GS”でいくってのもおもしろいけど・・・誰からお金とるんだろう・・・(゚m゚*)

僕と先輩のマジカル・ライフ 僕と先輩のマジカル・ライフ

著者:はやみね かおる
販売元:角川書店
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吉野万理子 『チームあした』  【児童書】

チームあした (学研の新・創作) チームあした (学研の新・創作)

著者:宮尾 和孝,吉野 万理子
販売元:学習研究社
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『チームふたり』の続編。前回、秋の市大会で一緒にダブルスを組んだ先輩は卒業。純はたったひとりの6年生となり、東小卓球部のキャプテンとして張り切っていた。転校してきた5年生の広海もかなりの腕前で、今度の大会も期待できそうだ。そんな時、顧問の先生が腰を悪くして入院することになってしまった。代理でやってきたコーチは「努力すれば県大会にも出られる」なんて大きな目標を口にする。努力すれば誰でも上にいけるという目標と、コーチの的確な指導によって卓球部は大会に向けて熱気がみなぎっていた。それなのに、ある日突然コーチが姿をみせなくなる・・・。

卓球界にラブリー愛ちゃんが登場してから、マイナーなスポーツかと思われた卓球も注目を浴び始めた。映画にもなった漫画もあるし、やってみると奥の深い結構ハマるスポーツのようだ。そんな卓球にぴったりな主人公、純くん。真面目なんだなあ。ほんと、真面目に一途に考え込むのが特技。主人公にありがちな派手でスポーツも軽々こなすが挫折を経験し・・・なんてタイプではなく。卓球を楽しんで素直に上手くなりたいと励む地味なタイプの少年。そんな彼の真面目な姿に拍手を送りたくなる。

真面目なキャプテンを中心に、話を軽やかにしているのが大地先輩や後輩の広海。先輩は何かと純を心配し、彼が上達することを素直に歓迎している。中学生とは思えない爽やかさ。純でなくても頼りにしたくなる。後輩は後輩で、自分が上手いことを認識しつつ純をたてて盛り上げていく。部内にあまり衝突はなく、上手にやっていってるのも純の人徳だろうか。西小との対決は唐突な気がしたが、おかげでスリルある試合展開となり、純のスマッシュにこちらもスカッとした。ルリ先輩の意地の悪さ・・・特に妹が試合に出る際の声かけなんてひどすぎる・・・には、ちょっと抵抗感があったなあ。自分で性格悪いとわかってても、あまりにも不器用すぎてかわいげがない。

子供は今がすべてと思ってしまう、というコーチの言葉に納得。今これを!って思って周りが目に入らなくなっちゃうんだよね。コーチはもうひとつ踏み込んだ性格にして欲しかった気もするけど。踏み込みすぎてハズしたら・・・漫画になっちゃうか。新しいコーチが部内に新しい風を運んできた。純はその風に乗って、新しい自分を見つけ明日という未来を思い描けるようになる。真っ直ぐ胸張って生きてくのも大事だけど、ちょっと疲れたら、新しい風を自分の中に吹き込むように立ち止まって周りを見渡すのも大事かもね。

チームふたり (学研の新・創作) チームふたり (学研の新・創作)

著者:宮尾 和孝,吉野 万理子
販売元:学習研究社
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山本幸久 『ある日、アヒルバス』

ある日、アヒルバス ある日、アヒルバス

著者:山本 幸久
販売元:実業之日本社
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アヒルバスってのは、あれか、はとバスにかかってるのか・・・と気がついたのは、読み終わってから。ラブリーなアヒルさんの表紙を見ていた時でした。なるほどね・・・。

かわいい恋愛ストーリーでも詰まってるのかと思いきや、東京を観光するバスに乗るガイドさんの奮闘記でした。始めのページのちょっとした地図を見ながら、しかしまあ、狭い所によくこれだけ見物できる場所が揃ってるもんだと改めて感心。ほんとに雑多な街だな、東京って。読んでいくと結構細かく東京を案内してもらえる。年取ったら『これはお得!東京名所ぐるり旅』に参加したいなあ・・・東京住んでるけど都庁にも行ったことないもんなあ・・・。なんて感慨にふけりながら、大笑い。とにかく笑える。テンポがいいんだよなー

高松秀子さんの愚痴なんて、歌うようにするすると脳みそに入り込んでいく。山本幸久氏って、男の方ですよねえ。『笑う招き猫』でも思ったんだけど、“女子”のキモチを書くの上手いなあと思って。アヒルバス社のバスガイド高松秀子さんの真っ直ぐで元気いっぱい、だけど、自分に自信が持てなくてついつい後輩におべんちゃら使っちゃったり、仕事に後ろ向きになったり前向きになったりの浮いたり沈んだりの日々。あるよね~♪じゃあないけど、いつの間にか自分もピノ食べて願いのピノ探し出したくなっちゃう。優しかった先輩の夢を追う姿に打ちのめされ、厳しい先輩の生活を知り未来を嘆き、意外に会社の未来を考えてる同期に圧倒され、できそうでできない後輩達にイライラさせられ・・・。でも自分の仕事を愛してがんばるデコの姿にスカッとさせられます。ぜひとも社歌にメロディーつけてドラマ化して欲しいなあ・・・デコは高松秀郎さんはムリだから・・・上戸彩ちゃんとか?剛鉄母さんの戸田夏美センパイはやっぱり、戸田恵子さんで?(笑)

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笑う招き猫 (集英社文庫) 笑う招き猫 (集英社文庫)

著者:山本 幸久
販売元:集英社
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山本幸久 『笑う招き猫』

笑う招き猫 笑う招き猫

著者:山本 幸久
販売元:集英社
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アカコとヒトミ。大学時代にひょんなことで出会った二人は、時を経てプロの漫才コンビを目指すことになる。ガタピシしてるが、外見も中身も相性はサイコーのふたり。芸能事務所に所属し舞台に出ながら明日を夢見る・・・。なんていうと格好がいいが、現実はそうそう甘くはない。ちょっと怪しい事務所でなんだか微妙な人たちに囲まれて、四苦八苦しながら少しづつ漫才の道を極めていこうとする二人がテンポよく書かれている。

なんといっても、ふたりのキャラクターの勝利だろう。アカコは本当に不思議ちゃんで、時に口ずさむ即興歌が面白い。一体どんな感じの歌なんだ!それに対して、現実を真っ直ぐに見つめているヒトミが頼もしい。見つめ過ぎて、時に落とし穴にどっぽり落ち込むけど、一生懸命這い出てくる彼女に共感する。理想は高いが、生きていくということはそんなに理想通りにはいかない。時には厳しい現実をつきつけられて、自分の道に躊躇したりする。それでもそれでも、ヒトミを信じて漫才を愛するアカコがカワイイ。アカコを信じて自分達の漫才を貫こうとするヒトミがカッコイイ。漫才なんて、婚期も逃しちゃいそうな女ふたりが目指していく道にしては随分と険しい道だけど、お互いに支え合ってガンガン進んでいこうとするふたりが勇気をくれる。なんだかしょっぱい気分にもなるんだけど、元気が出てくるお話でした。

作中でいくつかふたりのネタが披露されるけど、ほんとふたりのやり取りおもしろいのでもっと読みたい。できたら実際に見てみたいなあと思ったりしてsmile

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矢口敦子 『償い』

償い (幻冬舎文庫) 償い (幻冬舎文庫)

著者:矢口 敦子
販売元:幻冬舎
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家庭を顧みず仕事に専念していた日高英介。仕事を優先し続けた結果、愛する人たちを失ってしまい、そして自らの全てを投げ棄てることとなった。ホームレスとして己れを捨てて生きていたはずが、ふとしたことで関わった事件のせいで日高という己れが顔を出し、探究心の赴くまま事件の深みへと踏み込んでいくことになる。彼は過去に少年を救ったことがあった。ホームレスになっても自分の矜持を保つための思い出であるその少年に再会したことで心に優しい光が灯るが、同時に彼の苦悩は更に広がっていくことになる。聡明でしかしどこか憂いを持つその少年、自分が助けた草薙真人がどの事件にも一番近いところにいることに気がついてしまったからだ。事件を追い、過去を悩み、少年を思って苦しみ抜きながら己れを取り戻していく日高。子供の頃に受けた痛みと、大人になって受けた痛み。どちらがより痛いかなどと比べることは無意味だが、大人は自分を痛みから守るために子供へ毒を吐き出し続けることがある。子供はそれを吐き出す術を知らず、少しずつ心の隅に溜めていき、ついには爆発させる。人の悲しみの声が聞こえるという真人。その声も吐き出された毒だろうか。「他者の心を傷つけた者はどうやって裁かれるべきなのだろう」本文より――結局は自分の罪を知り、その罪と向き合って生きていくしかないのだ。罪を犯してしまうことは簡単だ。だが、その罪を背負い償っていく道のりは厳しいものでしかない。多少ラストに向かっていく過程があっけない気もした。もっと少年の慟哭が伝わってくるかと思ったのだが淡々とした印象だった。思い出したのは浦沢直樹の『MONSTER』。救った命が善良ではないかもしれない・・・久々に読み返したくなった。

MONSTER 1 完全版 (1) (ビッグコミックススペシャル) MONSTER 1 完全版 (1) (ビッグコミックススペシャル)

著者:浦沢 直樹
販売元:小学館
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