杉本亜未 『ファンタジウム1~3』
著者:杉本 亜未
なんとも言い難いなあ。驚きや感動と共に、なんだか苦い感情が残る。そんなお話だ。主人公の良りょうの苦しみ悲しみ喜び、そして彼のマジックでもたらされる奇跡の瞬間は、きっと文章でなく、漫画という手段だから心に響くような気がする。
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良の絶望は表面からは読み取れないけれど、かなり深い。当たり前の事ができない、“普通”から外れてしまうことが、今を生きていく上でどんなに大変なことか。人という動物の非道さを知り、なおかつ自分も人でしかないという現実を受け入れざるを得ない彼は、淡々とひとり生きている。希望が見えても、その希望にすがることはない。裏切られることを知っているから。とても強いけど、とても悲しい強さだ。
人は自分を守るため必死で生きてる。みんなそうだけど、“必死そうには見えない人”の方が、実は大変かもしれない。弱い自分を隠し自分の立ち位置を守るために、時に自分より弱い敵を見つけて攻撃しながら自分を保つ。誰だって他人より優位な部分を見つけて優越感に浸りたいものだ。問題は程度であり、それでも相手を尊敬できるなら、それが人間というものだと片付けられるかもしれない。でも、優越感という甘い感情を手っ取り早く得るには、弱者を貶める手段が一番簡単。そんなことをしなくても、自分を守る方法ならいくらでもあると知るには、挫折と経験が必要だ。
純粋なマネージャーと出会えたことが、良にとって幸いだったのか、災いだったのか。ひとつの才に秀でていれば学校で勉強することは必要なことなのか。有名になることがそんなに大事なことなのか。人間は理解できないもの、自分より秀でたものを持つ者に対してどう向き合うべきなのか。本当にいろいろと考えさせられるのだ。そんな諸々の鬱陶しいことなど考えないで、良のマジックを見ていたいと思うのだけど。
著者:杉本 亜未 著者:杉本 亜未
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