漫画

佐藤秀峰・小畑健・佐原ミズ・よしながふみ・ひかわきょうこ

杉本亜未 『ファンタジウム1~3』

ファンタジウム 1 (1) (モーニングKC) ファンタジウム 1 (1) (モーニングKC)

著者:杉本 亜未
販売元:講談社
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なんとも言い難いなあ。驚きや感動と共に、なんだか苦い感情が残る。そんなお話だ。主人公の良りょうの苦しみ悲しみ喜び、そして彼のマジックでもたらされる奇跡の瞬間は、きっと文章でなく、漫画という手段だから心に響くような気がする。

良の絶望は表面からは読み取れないけれど、かなり深い。当たり前の事ができない、“普通”から外れてしまうことが、今を生きていく上でどんなに大変なことか。人という動物の非道さを知り、なおかつ自分も人でしかないという現実を受け入れざるを得ない彼は、淡々とひとり生きている。希望が見えても、その希望にすがることはない。裏切られることを知っているから。とても強いけど、とても悲しい強さだ。

人は自分を守るため必死で生きてる。みんなそうだけど、“必死そうには見えない人”の方が、実は大変かもしれない。弱い自分を隠し自分の立ち位置を守るために、時に自分より弱い敵を見つけて攻撃しながら自分を保つ。誰だって他人より優位な部分を見つけて優越感に浸りたいものだ。問題は程度であり、それでも相手を尊敬できるなら、それが人間というものだと片付けられるかもしれない。でも、優越感という甘い感情を手っ取り早く得るには、弱者を貶める手段が一番簡単。そんなことをしなくても、自分を守る方法ならいくらでもあると知るには、挫折と経験が必要だ。

純粋なマネージャーと出会えたことが、良にとって幸いだったのか、災いだったのか。ひとつの才に秀でていれば学校で勉強することは必要なことなのか。有名になることがそんなに大事なことなのか。人間は理解できないもの、自分より秀でたものを持つ者に対してどう向き合うべきなのか。本当にいろいろと考えさせられるのだ。そんな諸々の鬱陶しいことなど考えないで、良のマジックを見ていたいと思うのだけど。

ファンタジウム 2 (2) (モーニングKC) ファンタジウム 2 (2) (モーニングKC)

著者:杉本 亜未
販売元:講談社
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ファンタジウム 3 (3) (モーニングKC) ファンタジウム 3 (3) (モーニングKC)

著者:杉本 亜未
販売元:講談社
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ひかわきょうこ『お伽もよう綾にしき 5巻』 【漫画】

お伽もよう綾にしき 5 (5) (花とゆめCOMICS) お伽もよう綾にしき 5 (5) (花とゆめCOMICS)

著者:ひかわ きょうこ
販売元:白泉社
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え?終わり?最終巻!?そんなーっっΣ(゚д゚;)まだ5巻しか出てないのにっ。

・・・それにしても、最近の漫画の帯は、ちょっと色々情報書き込み過ぎじゃあありませんかねえ・・・そりゃあ買わせたいのはわかるけどさ・・・楽しみがちょっと減るような気分がするなあ・・・

そういえば、新九朗さまが元に戻ったときも、え、もう?と思った覚えがあったし、彼が実体に戻った時点で半分は目的達成なわけだから、この展開の速さが妥当か。うん。ラストは戦い一辺倒になってしまって、ドラマティックな部分が足りなかったなあと思うけど、相変わらず新九郎さまはカッコイイ。(←所詮ミーハー)戦いに宗教が絡んできて精神世界の話になったから難しめだったけど、八重こと黄船を徹底的にやっつけてスッキリ。結構ひかわさんって、敵にも温情与える所があるから(現八郎とかね)どうするんだろうと思ってたんだけど、黄船はやっぱり悪霊怨霊のたぐいだもんね。なんといっても、天狗になった現八郎と新九郎のやり取りが楽しかったなあ。現八郎がすぐすねる所なんて、カワイイカワイイ。おじゃる様もエラそうにしてる割にカワイイところがあって楽しかったし。おじゃる様の“完璧”に強いお姿をもっと拝見したかったなあ。そしてそして、新九郎さまの活躍ももっとなあ・・・と思ってたら、情報過多な帯に「続編」の文字発見!おおっヽ(´▽`)/

平和になってお別れかと思ったら、なんのなんの、すずと新九郎の新居が寄り合い所のようになってるし、またまたひと波乱起こるのか、それとも、戦ってる最中のお話か・・・楽しみ楽しみ。

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よしながふみ『彼は花園で夢を見る』『こどもの体温』 【漫画】

彼は花園で夢を見る (Wings comics) 彼は花園で夢を見る (Wings comics)

著者:よしなが ふみ
販売元:新書館
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深い深い絶望。一度取り付かれると、なかなかその闇から抜け出すことはできない。それをもたらしたのが人ならば、それを埋められるのも人だろうか。

『ジェラールとジャック』の時はわかりづらかったけど(さらっと読んだだけじゃあ、なんか違う方ばかり気になって・・・(^-^;)、こちらはすんなりと心に響きました。

ジェラールとジャック (白泉社文庫) ジェラールとジャック (白泉社文庫)

著者:よしなが ふみ
販売元:白泉社
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こどもの体温 (Wings comics) こどもの体温 (Wings comics)

著者:よしなが ふみ
販売元:新書館
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ラストの書き下ろしが極上。自分は父親ではないし、ここまで極上の叱り方はできない。(母親はどうも愚痴っぽくなるし、ついついここぞとばかりに他の事も持ち出して怒っちゃうんだよなあ・・・私だけ?)このさりげない場面、まさに理想の叱り方。ほんと、怒る方も辛いんです。なんだか自分が傷つけられたような心持ちになるんだな・・・。読んでいる今、叱られる立場の人は、叱る立場になった時わかると思う。相手がだれにしろ。そうか、よしながふみさんは子供からみた親ってやつだけでなく、親になってわかった“親の立場”もわかるんだなあと納得。

いわゆる常識で考え得るフツーな人でなくて、攻撃的だったり明け透けだったり一皮向いたら侮れないヤツだったり・・・学校や会社行っててもお目にかかれるかどうか?という人たちがたくさん登場するけど、その人達の関係に流れているものは、意外に普遍的なもの。その普遍性が涙を誘う・・・う~ん、深いぃ。

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よしながふみ『愛すべき娘たち』 【漫画】

よしながふみさんの話は、絶妙にはさまれるセリフのないコマが、ものすごく語っているのだ。相手が言った言葉に対する反応を、セリフのないコマを置くことで一拍おく。その“間”の表情によって、人物の心のうちを深く考えて読み取ろうとしてしまう。この“間”の絶妙さが、本当に凄い。そして心地よい。

まあ、よしながふみさんの漫画がどれだけ凄いかなんて語り尽くされてるだろうからもう終わり。

この話で一番好きだったのは、第一話で、雪子が片付けてない部屋を理不尽な怒られ方をされた時の母親のセリフ。「親だって人間だもの 機嫌の悪い時くらいあるわよ! あんたの周囲が全てあんたに対してフェアでいてくれると思ったら大間違いです!!」P.11 

それを押し殺していくことが“良い母親”なのかどうかは、いまだに謎だが。親ってのは自分にとって害になり得ないものだと(実際に百害でしかないのを実感しているにも関わらず)心のどこかで信じていたいのは、やっぱり“親”だからだよなあ。だからこそ、いい親でありたいと思うんだけどねー。ほら、親も子供を育てながら一緒に成長するっていうじゃん。人間っていつまでも成長途中。親に完璧さを求めるのは間違ってるんだよなー。はは。じゃ、エラそうにするなって?それはそれで、年食ってる分ムリ。(←ほら、この辺こども。)

愛すべき娘たち (Jets comics) 愛すべき娘たち (Jets comics)

著者:よしなが ふみ
販売元:白泉社
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新海誠・佐原ミズ 『ほしのこえ』

ほしのこえ (アフタヌーンKC) ほしのこえ (アフタヌーンKC)

著者:佐原 ミズ,新海 誠
販売元:講談社
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始めにいっておくと、新海誠氏が有名なアニメーターで「ほしのこえ」もいくつもの賞を取るほどの“アニメーション”であることはまったく知らなかった。ファンの方、すみません。佐原ミズの本が図書館にあったので、借りた。表紙からは学生同士の切ない恋愛モノだろうと。ところがぎっちょん。SF?主人公らしき少女は学生服を着たまま、エヴァンゲリオンを思い出すような乗り物に乗り宇宙を彷徨っている。

地球外生命体つまり宇宙人の発見により始動されたタルシアンプロジェクト。長峰ミカコは国連宇宙軍の一員に選ばれ、そのプロジェクトに参加することとなる。目的は地球外生命体の解析・接触そして必要に応じての戦闘。それが人類にとって無害なのか有害なのか。戦うことに意味があるのか。

と書くと、これから宇宙戦争でも始まるのかとなるが、実際はそれ程SFのにおいがしない。それはミカコが大切に思い続ける寺尾ノボルとのメールが主軸に置かれているからだろう。ノボルは地球にいて、かつてミカコも営んでいた平凡な生活を続けている。そもそも宇宙にメールが届くのか疑問だが、それはともかく光が届くのが何年もかかるように、ノボルにメールが届くのもミカコが地球から離れていくにつれ時間がかかるようになる。銀河系の果て冥王星からは半年。さらに遠くシリウスからは8年と7ヶ月。実は浦島太郎は宇宙に行ったのでは?みたいな説があるが、地上と宇宙そらと。時は確実にふたりを隔てていく。一体、精神世界のみで恋愛が成り立つのか。ミカコの思いは常に地球の何気ない日々、ノボルと過ごした懐かしい日々にある。無作為に選ばれてしまったミカコだが、良いも悪いもなく、ただ壊したくないただ思いを伝えたいという思いで戦いへと身を投じていく。

ノボルは段々と届かなくなるミカコのメールを待つうちにわからなくなっていく。宇宙では時に激しい戦闘が行われているにもかかわらず、対照的に平和で無関心な地球の日々。静かなモノローグと共に何気なく挿まれる、ふたりで過ごした懐かしい数々の瞬間。トモダチ以上の思いを膨らませながらそれ以上には進めずに。忘れていくのは簡単だが、ふとしたきっかけで脳裏によみがえりノボルを苦しめる。ミカコが辛い日々を過ごし、心の支えがノボルへの想いだけなのに対し、ノボルには全てがそろい溢れている。メールがすぐ届きすぐ返信をくれる相手がそばにある。それでも。

それでも――

全編を通してやさしい風が吹くような感じにお話が流れていく。ひとコマごとの表情が豊かで、セリフが少ない分静かに話に吸い込まれるようだ。ラスト、どうだろう、少し希望を感じたんだけれど。絶望の中の希望は、果たして幸福をもたらすのだろうかと涙する。

いやーまだまだ知らない世界がたくさんあるなー。今度はアニメで見てみたいなー。

ほしのこえ(サービスプライス版) [DVD] ほしのこえ(サービスプライス版) [DVD]

販売元:コミックス・ウェーブ
発売日:2006/11/17
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ほったゆみ原作 『ヒカルの碁 1~23』

ヒカルの碁 1 完全版 (1) ヒカルの碁 1 完全版 (1)

著者:ほった ゆみ
販売元:集英社
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碁は全くわからない。わからないけど、オモシロいってすごい。もちろん、読んでいて「この一手」で打ちのめされているのを見ると、一体どこがどう凄いんだ!とジレンマに陥るけれど。この漫画を読んで、碁をかじろうと思った人は多いはず。自分もちょっと勉強したいなあと思ったけど、計算力集中力が皆無(残念なくらい)なので、まずムリだろうとあきらめました・・・(TT)

誰のファンって、やっぱり佐為。アニメも見たけど、佐為が消えた時は泣いたなあ。今回原作読んでも泣いたよ・・・旦那にばかにされながら。消えるとは思ってなかったから。思ってなかったけど、なんでヒカルはそこまで佐為をペット扱いなわけっと心底腹立つ時多かったな。段々佐為も自分が消える時が近いとわかり始めてきてからは特に。自分に近いもの程、なくしてからその本当の大切さがわかる。ってなもんだけど、本当に消えてからじゃあ遅い。でも、ヒカルの嘆きようにちょっとは救われた。ペットだけじゃなくて親兄弟友達恋人みたいに、それこそ空気のような存在だったんだなあと。そこから、一本筋の通った大人へと劇的に変化したところが見事に描かれていて唸らされる。いなくなってしまってから、佐為についてひとことも他人に言及しないでいられるヒカルって本当に強い、凄いと思う。

ラストはもっと佐為の存在を具体化して欲しかった~。ヒカルが負けて終わるのは、未来へ続く感じでまあ納得はできるけど。負け試合の中にも秀策を見た――って相手につぶやかせて欲しかった!ってのは贅沢か。そんなのなくてもヒカルにとって、どれだけ大切な存在かはわかるもの。抽象的には。そう、抽象的過ぎるーって仕方ないかお化け(!)だし・・・(泣)。佐為にもっと碁を打たせてあげて欲しかったなー。塔矢親子はもちろん、韓国中国の凄い人たち。そしてヒカル自身とも。

ヒカルは自分の中で佐為との別れを消化して見事に成長していったのに、こっちはぜっんぜんお別れできてないのだ。一気に読んだせいかなあ。いややっぱり、心狭いただのおバカ・・・(TT

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佐藤 秀峰 『ブラックジャックによろしく・1~10』

ブラックジャックによろしく (1) (モーニングKC (825)) ブラックジャックによろしく (1) (モーニングKC (825))

著者:長屋 憲,佐藤 秀峰
販売元:講談社
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読んでしまった。架空の世界では、あんまり現実味たっぷりなものは読んだり見たりしたくないんだよなあ…。救いが欲しいから。お医者さんモノこそ救いを求めちゃうから、研修医が見てしまった“現実”なんてさー。ドラマも見なかったよ・・・と思ってたけど、図書館にあったので読んでみた(*゚ー゚*)

やっぱり辛い。社会派な内容に心も重くなる。現実にひとかけらの救いなどないんだなと。「あなたとは違うんです」じゃあないけれど、大学病院の世界は庶民には理解不能。研修医の斉藤英二郎が直面する問題は、ある意味簡単なのだ。なんで医者なのにここでモタつくかなあ患者を少しでも治そうと考えるのが医者だろう、というだけのことだと思うんだけど。斉藤先生が正しいといえば正しい。だが、それは全く理想上の話。現実ではありとあらゆるしがらみが生まれてくる。それは病院側だけでなく、患者とその家族にもからみついてくる。一方から見たらイヤ~なヤツでも、他の面、例えば本人でなくて家族から見た面だったり…から考えると、それも正論になる。考えて考え抜いた結果が悪になることだったりするわけだ。だからこそ人間は難しいんだけど・・・できたら、簡単な正義だけ信じて生きていたい。それができない現実がバランスよく描かれていて凄い。

とりあえず、10巻まで読んだんだけど、あまりの現実の冷たさに、いつも緩みっぱなしのうそ臭い自分の涙腺が緩む暇もなかった。涙腺全開となったのは、ガンが進行して余命幾ばくもない主婦が、こども達に自分の死期を告げる場面。よく見るテレビのドキュメンタリーの感動的な話など、ほんの一握りの現実に過ぎない。自分の周りでも、テレビより深刻で恐ろしく悲しい事が起きているのが現実だ。知らないということはある意味とても幸せなのだ。宗教を無条件で信じることができるということもね。

それにしても、頭のいい人達の考えていることは、やっぱりさっぱりわからない。いい医者に巡り会える確率ってどれくらいだろう…なんて考えなくちゃならなかったり、ベッドがないだけで平然と急患をたらい回しにする現実を作ったのは、その道を極めたエライ人たち。支障があるとわかったら、その経験と頭脳を駆使して改善していくのが普通なはず。モンダイは人のために生きるか、自分のために生きるか。ああ人間って難しい。現実って厳しい(-_-X)

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